『エボニー』MJインタビュー和訳(11)~(20)

Q(11): 演出能力について: MTVは、黒人の音楽を放送しませんでしたね。あなたは、そのことをどう感じましたか?

A: MTVは(黒人アーティストを)放送しないと言った。僕の心は傷ついたけど、同時に何かに火がついた。「なんとかしなければ……ただ無視されることはお断りだ」と思った。うん、「『ビリー・ジーン』はかけない」とMTVは言った。
 ところが、「ビリー・ジーン」をかけたとき、「ビリー・ジーン」が空前の記録を打ちたてたので、MTVは何から何まで欲しがって頼みに来たよ。家の扉をたたきつぶすぐらいにね。そして、プリンスが登場した。MTVはプリンスに対して扉を開けた。次に、ほかの黒人アーティストたちすべてに。かつてのMTVは24時間ヘビーメタルだった。狂気じみた画像の寄せ集めにすぎなかった……
 MTVは昔、僕のところに何度となくやって来て、「マイケル、君がいなかったら、MTVは存在していないよ」と何度も言った。あの人たちは当時、実際には「ビリー・ジーン」を聞いてなかったと思うけど……そんなに悪意はなかったと思うよ〔笑い声〕

Q(12): それが、まさに今日のビデオ時代の幕開けになりましたね。

A: 昔、よくMTVを見ていたことがあった。忘れられないことだけど、兄貴のジャッキーが「マイケル、おまえもこのチャンネルを見なきゃ。すごいよ、最高のアイデアさ。1日24時間音楽ばかりだよ…1日中!」って言ったことがあった。それで僕は「見せて」って言って、じっと見てからこう言った。「もう少しエンターティメントの質を上げて、ストーリー性を持たせて、ダンスも入れたら、きっともっと人気が出るのになぁ。自分でするときには、ストーリーがなきゃいやだよ。導入、展開、締めくくり、そうすれば、見る人が1本の筋を追える。筋がなくっちゃだめだ。上質のエンターティメントを見ながら、同時に、次はどうなるだろう?と思う。「スリラー」「ザ・ウエイ・ユウ・メイク・ミー・フィール」「バッド」「スムース・クリミナル」で、そうした実験や、監督や脚本を書くことを始めた。

Q(13): ミュージック・ビデオと音楽の現状については、どう思いますか?

A: [音楽業界は]岐路に立っていると思う。変革の最中だ。みんな、混乱している。何が起こるんだろうか? どうやって音楽を流通させて、販売するべきだろうか?ってね。 インターネットはある意味、すべての人に大きな影響を与えたと思う。あまりにも強力だし、子どもたちはもう夢中だからね。全世界が、インターネットで身近になり、インターネットの影響下にあるんだ。知りたいこと、コミュニケーションを取りたい相手、音楽、映画……インターネットは、すべての人に影響を与えた。今は、スターバックスやウォールマートの契約なんかがアーティストたちを直撃してるけど、僕には答えはわからない。びっくりするようなすごい音楽、それだけが、大衆の心を動かすと思う。みんな、探していると思う。ほんとの意味の音楽革命も、今は起こっていない。だけど、もしすばらしい音楽があれば、手に入れるために、人は壁を壊すんだ。つまり、『スリラー』のまえも同じようなことがあったからね。音楽はそのころ売れてなかった。『スリラー』が、みんなを販売店に運ぶのに一役買ったんだ。だから、何かが起こるときには、起こるものだよ。

Q(14): 誰のことが気になりますか?

A: 芸術的な才能という意味では、Ne-Yoが素晴らしい仕事をしてると思う。それに、Ne-Yoにはとてもマイケル・ジャクソンっぽい雰囲気がある。そこが、彼の好きなとこだけどね。彼は曲作りを理解している男だと言えるね。

Q(15): こういった若いアーティストたちともいっしょにやりますか?

A: もちろん。僕はいつだって、いい音楽をやってるかぎり、郵便配達員だろうが床掃除をしている人だろうが、気にしないタイプなんだ。いい音楽は、いい音楽だから。最も独創的なアイデアのなかには、平凡な人たちから生まれたものもあるのさ。「これを試してみよう、やってみよう」ってね。すごいアイデアかもしれないから、試してみるべきなのさ。クリス・ブラウンは素晴らしい。Akon、彼は素晴らしいアーティストだね。
 僕はいつも、自分とはちがう世代に刺激や影響を与える音楽をやりたいと思っている。人は自分が創造するものには、彫刻であれ絵画であれ音楽であれ、永く生きつづけてほしいと思うものさ。ミケランジェロは「私は、創作者は消えさるが、芸術作品は生きのこることを知っている。それゆえに、私は死から逃れるために、自分の魂を作品に縛りつけようとする」と言った。そう、僕は、そんなふうに感じているんだ。僕のすべてを自分の作品に捧げる。作品にとにかく長生きしてほしいと思っているんだ。 

Q(16): 自分が歴史を変えたことについてはどう感じていますか?そのことを、よく考えますか?

A: うん、よく考えるよ。僕くたちが扉を開いて、扉を壊すのに大きな力になったことを、とても誇りに思っている。世界中を回って、スタジアムでツアーをしてるとね、音楽の影響力が分かるんだよ。ステージから、はるか見わたすとね、自分の目に見わたすかぎり、人・人・人が見える。それは、素晴らしい気分だ。だけど、それには、ものすごい苦しみが伴ったんだ。ものすごい苦しみがね。

Q(17): それは、どういうことですか?

A: 競争のトップに立っているとき、先駆者であるとき、人びとからの攻撃を受ける。トップ、そう、人はトップにいる者を攻撃しようとする。
 でも、たくさんの新記録、数々のすごいアルバム、数多くのNo.1ヒットに感謝しているよ。今でも感謝している。僕はね、居間で父さんがレイ・チャールズを演奏するのを聴いて育ったんだ。母さんに、午前3時に起こされて、「マイケル、あの人がテレビに出てるわよ~!」って言われて、僕はテレビのとこに走っていったことがある。ジェームス・ブラウンがテレビに出てたんだよ。僕は当時、「これが、僕のやりたいことだよ」って言っていた。

Q(18): マイケル・ジャクソンに、これからも期待していいですか?

A: 今、たくさんの曲を書いているよ。毎日のように、スタジオにいるんだ。あのね、今流行ってるラップなんだけど、最初に出てきたときに、ラップはもっと世界共通なものになるために、もっとメロディックな構造を取りいれるだろうといつも思っていた。だって、すべての人が英語を話せるわけじゃないから〔笑い声〕 それに、そうじゃなきゃ、この国だけにかぎられてしまう。だけど、メロディがあれば、だれでもメロディをハミングできる。メロディがあるから、今じゃ、フランスでも、中東でも、どこでもよくなったのさ!今、ラップは世界中に広がってるよね。ラップにメロディックな流れが取りいれられたからさ。歌はハミングできないとだめなんだよ。アイルランドの農夫からハーレムのトイレ掃除をしている女性や口笛を吹く人や指を鳴らす子どもまでね。歌は、ハミングできなきゃだめなのさ。

Q(19): ところで今、あなたはもうすぐ50歳ですね。80歳になっても、同じことをしていると思いますか?

A: 実のところ、うーん、No。ジェームス・ブラウンやジャッキー・ウィルソンがやった方法じゃなく…なぜなら彼らは、もう消耗しきって、自殺行為をしているようなものだったから。僕としては、ジェームス・ブラウンがゆとりを持って、もう少しくつろいで自分の仕事を楽しめていたら良かったのにと思うんだ。

Q(20): またツアーをするつもりはありますか?

A: 長いツアー(巡業)は好きじゃない。でも、巡業の大好きな点は、技術が美しく磨かれること。そこがブロードウェイの大好きなとこなんだ。だから、俳優たちは技を磨くためにブロードウェイをやるのさ。技術を向上させてくれるからね。なぜなら、すばらしいエンターテイナーになるのには、何年もかかるから。そう、何年も。ただやみくもにだれか連れてきて、しのぎをけずらせようとしても無理だよ。絶対うまくいかない。観客にはわかるのさ、ちがいが。手の動かしかたや体の動かしかた、マイクの使いかた、おじぎのしかた。観客には、そんなちがいがすぐわかるのさ。
 ところで、スティービー・ワンダーは、音楽の預言者だと思うよ。彼のこともすごい人だと思っている。かつて、「もっと曲作りがしたい」と思って、プロデューサーのギャンブルとハフやハル・デービスのザ・コーポレーションズがジャクソン5のたくさんのヒット曲を書くのを見ていた。その曲作りの解剖学を学びたかったのさ。彼らが当時やっていた方法は、自分たちがトラックを取りおえてから、僕たちを呼んで歌わせるというものだった。僕は、当時よく、頭にきてた。だって、彼らプロデューサーたちがトラックを作るのを見たかったから。彼らは、トラックができた後で、"ABC" "アイ・ウォント・ユー・バック" "ザ・ラブ・ユウ・セーブ"をくれた。僕は、全工程を経験したかったのに。
 それで、スティービー・ワンダーは、かつて僕を曲作りの場に座らせてそっと覗かせてくれたのさ。僕は、運よく『キー・オブ・ライフ』(Songs in the Key of Life)」が最高の曲ばかりによって完成するのを目撃した。僕はマービン・ゲイと座っていた……みんな、当時よくうちに来ていっしょにブラブラしたり、週末には兄弟たちとバスケットボールをしていた人びとなんだ。いつも、こうした人びとが身近にいた。そう、曲作りに関する科学とか解剖学とか構造が見れるってことは、ほんとうにすばらしいことだよ。

タグ : マイケル・ジャクソン

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