翻訳の森 Diary

翻訳の森を迷走中

スレッド文学初体験

スレッド文学というものを初体験しました。

以前、web発で話題になり書籍としてもベストセラーになり、映画化やテレビ化までされた『電車男』ってのがありましたよね。あの時は、ブームを横から眺めているばかりで、結局読まずじまいでした。

今回のスレッド文学の話題作は高一の長男が買ってリビングのソファに置いていたので、思わず手に取りました!

タイトルは『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という長いもの。作者は黒井勇人だって。なんかおもしろそう。案の定、読み始めるとグイグイ惹きつけられ、400ページもある本だけど、昨日一晩で読んじゃいました!! おかげで今日は睡眠不足で目の下にクマが……泣

この作者、文章がうまくて読ませます。何度もお腹を抱えて笑っちゃう場面あり、ちょっと泣かせる場面あり……あぁ、いつも翻訳で文章に苦しんでいるわたしとしては羨ましい文才です!!!

2チャンネル発で、スレッド形式で書かれています。ゆえに、ところどころにコメントも入ります。でも、作者の文章の部分は薄く網がかかっていて、他のコメントと区別されているので読みやすいです。

「ブラック会社」っていうのは、2チャンネル用語で「薄給、残業、休日返上は当たり前って感じの入っては行けない会社」のことのようです。

主人公はいじめを受けた過去を持ち、高校中退で中卒になり、二ート歴10年の男の子。パソコンが趣味でいわゆるオタクでもあります。そんな彼も母の死をきっかけに一念発起して就職活動を始めます。わりあい得意なパソコンを生かせるかもってことでIT業界を狙いますが、彼には実社会での経験がゼロなので結局ブラック会社になんとかやっと転がりこみ、このお話が始まります。

そして、ブラック会社で彼を待っていたのは、大変ユニークな同僚や先輩たち、そしてきつい仕事の嵐!

彼はここでの仕事との格闘を通じて、人間関係や仕事の楽しさ・厳しさを学んでいきます。

彼がすごくピュアな男の子で、目の前の難題に一つ一つ真摯な態度で取り組む様子には思わず応援したくなります。はじめはふざけたものが多かったコメントも、ストーリーが進むにつれ、彼を応援するもの、感動しているものが増えていくのです。この辺、おもしろいですよね。映画や舞台をたくさんの観客と見るのとちょっと似ていて、文学だけど一人で読んでないというのが。


そして、スレッドという新しい形式で書かれていますが、内容は典型的な少年の成長記録ですね。
ただ、正確にいえば彼は少年じゃなくて、もう26のいい大人なんですけど、やはり少年の成長記録として読むと心が揺さぶられます。


高一の長男もそんな目線で見ているんじゃないかなぁ。
長男はわたしと違って趣味が渋いので、普段は司馬遼太郎とか読んでいます。
文学でも音楽でも、いつもちょっと趣味が違うのです。

でも、今回は長男と同じもので感動できて幸せな気分です ^^

時代や環境は変わっても、人間の本質ってそう急に変わるもんじゃないですね。

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれないブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
(2008/06/26)
黒井勇人

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[ 2009/05/16 01:53 ] ◇読書 | TB(0) | CM(0)
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