翻訳の森 Diary

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推理小説『七人のおば』

パット・マガーという女流推理小説作家の『七人のおば』を読みました。
翻訳家越前敏弥さんの読書会なるものが大阪で開催され、この本が課題本だということを翻訳勉強仲間から聞いたのが先月。残念ながら出席はかないませんでしたが、何かあるのかなと思い、読んでみました。

作品自体は1947年の作ということで、第二次大戦直後のものです。どうりで、登場人物のひとりが日本兵と戦って帰還するというエピソードがあるはずです。
でも、そういう時代背景が描かれているにもかかわらず、まったく古臭さはないですね。翻訳が出たのが1986年ということですので、翻訳段階で工夫があったのでしょうか? それとも、この小説自体に時代を越えた面白さがあるのでしょうか。

語り手であるサリーという若い女性と夫が、ロンドンにいながらにしてアメリカ在住の七人のおばとその夫たちのうちで起きた一件の「夫殺し」の犯人を推理するという話。
いわゆる安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ、Armchair-Detective)のカテゴリに入ると思います。
サリーの友人が「あなたのおばさんのひとりが夫を殺した」といった説明不足の手紙を書いてきたので、サリー夫婦が一晩かけて、サリーがおばたちとの交流を通して知りえた家族の歴史を辿りながら犯人がどのおばかを推理をしていきます。
翌日、夫が買ってきたニューヨークタイムズ紙でサリーは夫の推理が正しかったことを知る、という筋書き。

最後の方で、わたしにも犯人がわかってしまったので、謎解きはそんなに高度とは言えないような気がしますが、おばたちひとりひとりのキャラクターの描き分けが見事で、煩雑さというものがありません。

一番魅力的だったのは、誰だったか……? やはりドリスでしょうか。若さゆえのひとりよがりの情熱はわたしにも憶えがあるものですが、それが何年も続く姿を見ると、彼女の健気さにちょっと胸が痛い気もしました。対称的にその相手のバートの優柔不断ぶりにはうんざりさせられます。一瞬、『風と共に去りぬ』のスカーレットとアシュレイを思い出しました。こういった人間描写の巧みさがこの推理小説の一番の魅力でした。

七人のおば (創元推理文庫)七人のおば (創元推理文庫)
(1986/08/22)
パット・マガー

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[ 2011/03/04 15:09 ] ◇読書 | TB(0) | CM(0)
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